春は交通広告がもっとも輝く季節。
春が近づくと、新生活を意識した交通広告が目につき始める。
新生活を前にした「移動」は、その人にとっていろんな意味を持つものだから、
そこに書かれたメッセージは強く胸に響くものがある。
そんな中、毎年秀逸なコピーとともに交通広告を展開しているのがサントリー「金麦」。
2016年3月撮影
「よーい、金麦」
春は、金麦。前を向いてどこまでいけるか。いけるところまでいってみようと思う。春だから。
あたたかい風に背中を押されてみる。咲き始めた桜に上を向いて、軽やかなコートで飛び出してみる。
新しい職場へ向かう人。新しい街にやってきた人。出会いがあった人。別れがあった人。
めげそうな人。かわりばえしない人。毎年春はやってくるけど、みんなにちゃんとやってくるけれど。
同じ春なんてひとつだってないんだから。さあ、今年の春。
ちなみに2015年3月はこんな感じ。
「ゆけ、金麦」
新しい街にやってきたあなた。真新しいシャツに袖を通したあなた。髪を切ったあなた。満員電車に慣れないあなた。不安なあなた。期待に胸ふくらませるあなた。笑うあなた。少し寂しくなるあなた。ふりかえるあなた。ふみだすあなた。走りだすあなた。ゆけ、ぜんぶのあなた。ゆけ、金麦。
電車内でワイドポスターで、新生活を迎える人を応援するメッセージ。
どれだけの人の胸に響くかはわからないけど、少なくとも僕はこのシリーズに触れてから、
毎晩飲むのは金麦にしました。
他にも、印象に残っている春の広告。
転職したての頃に見て、厳密には新入社員ではなかったんだけど、
グッと来て写真に残した、キリンのFIRE。
新入社員の君へ。
早咲きの桜がある。
遅咲きの桜がある。
でも、どんな桜にも、地面に根を張り、
幹を太くしている時期がある。
今はわからないかもしれないが、
目に前にある仕事には、大きな意味がある。
心に火を。FIRE (2013年4月)
冒頭にも書いたように、人は移動している時はココロが動かされやすいものだ。
特に生活に変化がある春の移動中はなおのこと。
そんな時に優れた広告を目にすると、それはとても得がたい経験となる。
企業と生活者にとって、最も幸福な出会いのひとつだと思います。